円
高三の秋頃、母校では恒例の校外清掃みたいなのをしていた。でかい竹箒で落ち葉だらけの道路を引きずって、2時間くらい友達と喋りながら歩くという行事だった。
私は気が向けば落ち葉を集めたり、木の枝を持って歩いたり、変な模様の蝶々や芋虫を見たりしながら1人で歩いていた。
掃除ルートの中腹くらいまで来た頃、乳を揺らしながらそろそろと私に近づいてきた女がいた。こいつは乳がHカップくらいあって、家庭環境が糞でメンヘラで遅刻魔サボり魔の女だった。Nという。今年の盆休みに一緒にコメダに行ってご飯を食べたやつである。
Nは何も入ってないちりとりを持って、私にコソコソ話をはじめた。内容は援交についてだった。最初はびっくりしたが、そういえばNに援交を勧めたのは私だったなと思い出す。
Nは携帯代や通学に使う電車代バス代などを全て自分で払わなければいけない上に、昼の弁当がないのも当たり前だった。Nと仲のいい子達は弁当の蓋にそれぞれ唐揚げや卵焼きやブロッコリーなどを少しづつ乗せて集めて、ミニ弁当みたいなのをたまに作ってあげていた。私も顔つきのたこさんウィンナーは嫌いだったので、弁当に入っていればNにあげたりした。ミニ弁当とたこさんウィンナーは腹の足しにはなるが金にはならないので、Nはよくバイトをしていた。
しかし学校にもまともに来れないような人間にバイトが務まるわけがなく、すき家のバイトを辞め、ガソスタのバイトを辞め、焼肉屋居酒屋のバイトを辞め…を繰り返していた。そこで夏休みに出会い系をつかって処女を卒業した私は、何の気なしに援交でもしてみたら?乳デカイしいけるだろ みたいなことを言った。
Nは何をするにも渋るしビビりだし無気力なので、絶対しないだろうと思っていた。しかしNは援交をした。ホテル代は別、ゴムあり3万。
当日Nは待ち合わせしていた駅で、そこそこ顔のいいスーツ姿の男に声を掛けられた。この人かな、この人とするなら全然ありだなと思って、「Nですけど、○○さんですか?」と言うと普通に人違いだったらしい。どういうことかというとそのスーツの男もその日その時間その場所で出会い系の女と援交の約束で待ち合わせをしていたらしく、互いに相手を間違えたということだった。それから5分後くらいに本物が来た。
相手のプロフィールには30代後半と書いてあったらしいが、実際に来たのは50代後半くらいの白髪混じりのおじさんだったという。おじさんは「よく60歳くらいに見られるけど、40歳なんだ」と言うらしい。策士である。
おじさんは勃起不全で臭くて汚かったらしい。射精をしに来たというよりは、若い女の体を貪りに来たという感じらしく、NはHカップの乳に留まらず身体中をめちゃくちゃにしゃぶられまくったという。本当に可哀想で面白くて書きながら涙がでる。
Nはその3万で携帯代を払ったら半分くらいなくなったと悲しそうにしていた。なので真っ当に生きればと言った覚えがある。
Nはその後援交はせずに、学校にも割と登校してきた。留年がかかっていた保健体育の単位をギリギリもぎ取って一緒に卒業した。私もNも、互いに大学に行けるような成績も出席日数も金も持ち合わせていなかったので渋々就職した。今は彼氏もいて、家族とも微妙ではあるが上手くやろうとしている。Nが彼氏と別れて金に困っていたら一緒に援交しようかなと思う。