本日は友人と喫茶店めぐりの約束をしていたがめでたくドタキャンされ、日がなぼんやりする他無くなった。
しかし俺はなににつけても強迫観念が強く、外が晴れているのに家にいることを許さなかった。あまりにも快晴なので、寝落ちする寸前に危うくただのゆで鶏になってしまうところだった鶏ハムを湯から救出し、千円札をポケットに入れて散歩に出かけた。
いつもなら川に沿った歩道を魚や鳥を眺めながら歩くのだが、何か月前かの雷でコンクリートがボロボロになってしまい川へ降りられなくなったので、ボロボロの団地の中にある公園へ向かう。点鼻薬を刺した鼻では満開の金木犀の匂いすら拾えない。
通った記憶があるようなないような坂道を登って公園。
タイヤに腰を下ろし、キリンの自販機で買ったウーロン茶を飲む。
以前恋人と一緒に行った森の中の公園では、彼はベンチにハンカチを敷いてくれたなとタイヤの上でぼんやり思い出す。古い男なので、気遣いが昭和そのものである。
忘れ去られた野生のオクラ。
結局立ち入り禁止のロープをくぐりこっそり川へ降り、これを書く。
帰ったら夜。